「このデザイン良いね」
このフレーズ、とてもいい響きですね。

こんにちは、UI/UX Designerの千葉です。
冒頭の発言、どんな部分が良いと感じるのかは人それぞれだと思いますが、こう思う瞬間は誰にでもあると思います。もしそれを担当したデザイナーが自分であれば、最高の褒め言葉として嬉しい限りです。プライベートでも仕事でも、生活をしていると有形のモノだけでなく、無形のサービスも含めた様々な「デザイン」に触れることがあると思います。(こちらの記事「DX推進におけるデザインの役割とその効果とは」で「デザイン」について解説しています)

今回は、DXやSDGsなどのプロジェクトでも同様と考えていますが、モノやサービスをつくる際のデザインにおける重要なポイント、考え方などをお伝えできればと思います。

何のためにデザインがあるのか

デザインという言葉の意味が「見た目」だけに適用されていた以前とは違い、デザイン思考やデザイン経営、UX(User experience)デザイン、サービスデザイン、ビジネスデザインなどモノではなく無形物にも広がっています。以前の記事でも記載しましたが、デザインとは「ユーザー(ヒト)を中心に考え、その目的(コト)を手段(モノ)を通して計画し実現化すること」とお伝えしました。この言葉から考えると、デザインはユーザーのためにあり、目的を実現するためにあると言えます。

プロジェクトにおいて、その目的は様々です。例えばDXプロジェクトであれば「競争優位性の確立」、SDGsプロジェクトであれば「平和と豊かさを享受すること」などが挙げられます。他のプロジェクトでは、「付加価値の向上」「ユーザー数の倍増」「EC売上の前年比150%達成」「データ活用による業務の見える化」など取り取りです。これらの目的を達成するためにデザインとして何を考え、何をすればよいのかを考えることが必要になります。

目的を達成するために必要なデザイン

目的を達成するためには様々なことが必要になりなす。抽象的な話だと分かりにくいので、例えばSDGsプロジェクトで考えてみたいと思います。

ここに「海の豊かさを守ろう」というテーマがあったとします。海の豊かさとは何かと考え、様々な定義が出てくると思います。「珊瑚を守ること」「プラスチックゴミを減らすこと」「地球温暖化/海洋温暖化を防ぐ」などプロジェクトに参加した人数だけ意見がでてきます。ここで出てきた定義、目的を達成するためにデザインができることは何なのでしょう。

これらの目的達成に共通することは、一人でできることではなく、多くの人の協力が必要であるということです。つまり、より多くの人の行動を変えることが目的達成に必要になってきます。ここを考えるのがデザインの肝要になります。多くの人の行動を変える仕組みを作ること、これが目的達成に必要なデザインです。

行動を変えるために必要なデザイン

では、行動を変えるために必要なデザインとはどんなことでしょうか。

私の答えとしては、「感情に訴えること」と考えています。感情を動かすことで行動変容につながると考えています。広告は分かりやすい例だと思いますが、広告を見て「美味しそう、食べたい」と思わせたらその人は商品を食べに行くでしょう。「この服かわいい、着たい」と思ったら服を買いに行くでしょう。ECサイトであれば、購入までするでしょう。BIツール※1で経営状態の悪化がわかれば「このままではまずい、改善しなくては」と部下に指示を出すでしょう。リゾートホテルで素晴らしい体験をしたら「この体験を誰かに伝えたい、レビューを書こう」、「ディズニーランドが楽しかった、また行きたい」「このサービスがすごい、この会社で働きたい」などと、人によって感じる感情に違いはでてくると思いますが、ポジティブな反応であれば良いアクションにつなげられると思います。

有形物、無形物をデザインする時に必要なこと

前段では、広告やBIツールなどの有形物と体験やサービスなどの無形物での例を記載しました。前者のポイントは、そのビジュアル(グラフィックデザイン)が重要になってきます。美味しそうにシズル感を表現したビジュアル(食べたいと思わせるビジュアル)、服の可愛さを際立てる表現(着たい・買いたいと思わせるビジュアル)、危機感が伝わる表現(このままではまずい、改善しなくてはと思わるビジュアル)がポイントにです。後者の場合は、カスタマージャーニーやサービスの仕組みを考えてユーザーが「どの様な時に」「どの様な場所で」「誰と」「何をするのか」「何故するのか」「どのようにするのか」を考えることにあります。体験中やサービスを受けている時、その前後など、感情を動かす仕組みをデザインすることが必要です。

人間は感情豊かな生き物なので、その感情を動かして目的を達成させることができるデザイン、これが「良いデザイン」である、と個人的に考えています。

まとめ

英語の「emotional(エモーショナル)」を由来とした、「エモい」という言葉があります。「感情が動かされた状態」、「感情が高まって強く訴えかける心の動き」などを意味する若者言葉、日本のスラング(俗語)です。デザインが目指すところの一つに、「エモいデザイン」があるのではと思います。少なくとも、私がデザインする時には「エモいと思わせるにはどうしたらよいか」ということを頭の片隅においてデザインを考えています。この記事を読んでいる皆さんは、モノやサービスを使う側の立場にあると思いますので、何かのモノやサービスを評価する時の軸として、「エモいか、エモくないか」という軸で見ていくのも面白いと思います。ぜひ様々なモノやサービスをこの観点で評価してみてください。